じつは「君の名は」の映画をまだ見てませんが、小説版を読み終わり、とても素敵だったので、感じたことを書いていきます。
「男の子と女の子が入れ替わる」くらいの前情報
わたしは、きまずい展開っていうのが苦手です。
だから、主人公たちが互いの生活をかき乱していく、というところは、微笑ましくはあるのですが、とても気まずいところを感じてしまい、正直読んでてちょっとつらいところもありました。
でも、それに耐えて読み進めると、とても心動かされる展開が待っていたわけです。
[caption id="attachment_1342" align="aligncenter" width="500"] By: Eunbyul Sabrina Lee - CC BY 2.0[/caption]
「前前前世」が頭のなかに流れた
中盤から終盤にかけて、物語を読み進めながら、なぜか、映画版の主題歌である、「前前前世」が頭の中を流れて止まりませんでした。
この映画の曲だから、ということもあるのでしょうけど、そのことを特に思い浮かべたりしなくても自然と流れてしまったのです。
なんでだろうなぁ、と思いながら読み終え、後書き、解説、と読んでいくと、解説には、こんなことが書いてありました。
「今回、小説は書きません」 そう宣言していた新海誠が、野田洋次郎の音楽によって書かされた。 小説に音は鳴らせない。でもRADWIMPSの曲がここから聴こえてくる。
そう。まさに、わたしに起きていたことがこれでした。
終盤を涙ぐんで読みながら、頭のなかに自然に音楽が流れ、心を揺さぶられる。
文字に、行間に、作者が感じていた音楽がにじんでいた、ということなのでしょうか。
貴重な素敵な体験でした。
映像と小説で互いに保管しあいたくなる世界観
わたしは、たいていは、「小説版」「原作」を読むと満足してしまいます。
映画では見ていないのですが、小説版を読んだから映画は見なくてもいいや、と思ってしまうことが多いです。
秒速5センチメートルも、涼宮ハルヒの消失も、そうして、小説だけ読んで、映画は観ませんでした。
[caption id="attachment_1345" align="aligncenter" width="500"] By: Andrew Malone - CC BY 2.0[/caption]
しかし、ごの「君の名は」については、とても映画を見たくなりました。
この世界観を、もっとリアリティを持って感じたい、
これはどんな口調で言っているのかな、ここはどんな音が鳴っていたのかな、ということを感じたい、
そういう思いがとても強くなりました。
小説での描写が物足りない、というわけではないのです。
このセリフと背景音をどういう解釈で実際の音声に仕上げたのかな、ということがとても気になり、また、実際に聞いてみたくなったのです。
世界に没入したくなったんです。
作品の世界観を、よりリアルに感じ、頭の中の世界観を補完してもっと味わい尽くしたい、と、そう感じさせてくれる、とても素敵な小説でした。
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